No.13 講座 シンポジウム  文化による地域創生に求められる“人材”と“しくみ”

“人材”と“しくみ”があれば文化で地域創生はできる

いま地域課題解決に“文化の力”が期待されている。地域プログラムには「連携」や「コーディネート」の手法と「ワークショップ」の手法が求められ、そこには新たな人材確保と従来からの思考転換が必要となっている。そこで県内に地域文化コーディネーターや学校教育に寄与するワークショップ人材を育成するには、先進例と課題を見出す必要がある。
本シンポジウムは前半に、①図書館、美術館における先進的な動向 ②子どもと地域コミュニティや地域コミュニティと文化をつなぎ直し、地域から希望や活力を生みだした市民力 ③公立文化施設が柔軟に文化事業を取組むため、会計執行や運用の基準に工夫をした事例などを学ぶ。
そして後半はラウンドテーブルとして、今後の事業における課題と展望を考えていく。

イベント概要

開催日 2023年10月27日(金)
時間 開場 13:00 / 開演 13:30 / 終演 17:30予定
会場 とうほう・みんなの文化センター
福島県文化センター( 小ホール )
福島市 春日町 5-54
出演者等

出演

基調講演

神代 浩   
元文部科学省社会教育課長 / 図書館海援隊隊長

モデレーター

中川 幾郎   
帝塚山大学名誉教授 / 日本文化政策学会顧問

スピーカー

天野 和彦   
福島大学特任教授 / (一社)ふくしま連携復興センター代表

森本 真也子  
NPO法人子ども文化地域コーディネーター協会理事

玉渕 博之   
仙南芸術文化センター (えずこホール) 館長

紹介文

プログラム

問題提起-中川 幾郎(10分間)

「余暇」社会という言葉ほど、文化や芸術を余剰時間(ヒマ)、余剰資源(溢れたカネ)による営みと誤解させたものはない。図書館は、余暇施設としての無料貸本施設だろうか。公民館も、ヒマと健康に恵まれた中高年対象の廉価版公立カルチャーセンターでよいのか。劇場・音楽堂(公立文化ホール)も、赤字解消と稼働率に追われ、人気取りに堕した公設演芸場でよいのだろうか。このシンポジウムでは、現に存在する「社会課題」と太刀打ちする公共文化施設や、そこに関わる人びとのあるべき姿を、優れた事例と併せて学びたい。

 

基調講演-神代 浩(40分間)

文化による地域創生は可能か?

公共図書館の世界では、「本がタダで借りられるところ」というステレオタイプを打ち壊し、ビジネス支援、健康医療情報支援、Jリーグ・クラブチームとの連携など、課題解決支援型サービスを積極的に導入することで行政と住民の評価を高めてきた。その結果、少なからぬ自治体において図書館は地域創生に欠かせない公共機関と位置付けられ、施設の建て替えやサービス向上のための環境整備を進めている。
しかし、残念ながら文化施設を中心とする地域活性化は、かつて一部の地域で、試みられたものの、近年では行政や住民から関心を持たれているようには見えない。文化の価値を彼らにアピールする機会がいくつもあったにもかかわらず、文化関係者はそれを活かすことができなかったからである。まず、厳しい現状を直視し、文化が地域創生の担い手として評価されるために何が必要か、後の議論につながる問題提起を行う。

 

事例報告1-森本 真也子(20分間)

コーディネーターの可能性と必要な環境とは

コーディネーターの目的は、文化事業を通して、人と人の出会いや共感を生み出し、互いを尊重しながら生き合う地域づくりを目指しています。そのために、文化・地域・人々の暮らしなど様々な角度から根底にある考え方を学び、実践に応用していくことが求められます。まだまだ、地域と文化をつなぐコーディネーターの役割が定まっていない中ではありますが、実践と研究を重ねるための十分な検討材料や財源確保が求められています。

 

事例報告2-玉渕 博之(20分間)

えずこホールの取組を支える工夫とは

劇場は、文化政策や文化振興を実践していく重要な“場”です。その現場のひとつ、「えずこホール」での取り組みを紹介すると共に、文化事業のあり方や思考についても触れ、さらに、組織体制や事業を支える仕組みなどについて解説していきます。これらを通し、現場を支える専門人材の育成や業務の構造などの課題について、認識を深めると同時に、地方における劇場等の役割をいま一度、皆さんと一緒に考えるきっかけにできればと思います。

 

対談-天野 和彦×神代 浩(30分間)

文化がいのちを守る~無縁社会の時代と大震災を契機とした文化的挑戦~

地域文化は日々の暮らしの営みや風土、そしてその時代の趨勢が大きく作用する。災害によってつながりを失った人々に必要なものはいったいなんだったのか。また次世代を担う子どもたちに向けたメッセージとはいったいなにか。地域を丸ごと捉え見つめていく取り組みとして、仮設住宅で始まった「歌声喫茶」やメディアリテラシーを超えた狙いをもつ「こども映画学校」について紹介しながら話を進めていく。

 

ディスカッション(75分間)

前段を受けて、登壇者がコーディネート業務に必要な環境、仕組み、業務の在り方など新たな考え方をフロアの意見も取り上げながら討議していきます。

 

まとめ-中川 幾郎(10分間)

登壇者の発表、ディスカッションでの意見を踏まえ、本シンポジウムを取り纏めながら課題を提起します。

 


 

プロフィール

神代 浩 (かみよひろし)

1962年大阪市生まれ。文部科学省社会教育課長在任中に住民の課題解決支援を積極的に推進する有志のネットワーク、図書館海援隊を立ち上げる。また、東京国立近代美術館館長在任中には、美術館関係者のための総合展アートミュージアム・アンヌアーレを立ち上げる。これまで文部科学省要職のほかに文化庁文化財部伝統文化課長、ビジネス支援図書館推進協議会理事、図書館サービス向上委員会(りぶしる)委員、福島復興公民館大学呼びかけ人などを歴任。著書に『困ったときには図書館へ~図書館海援隊の挑戦~』(悠光堂)。共著に『困った時には図書館へ2 学校図書館の挑戦と可能性』(悠光堂2015年)などがある。

 

中川 幾郎 (なかがわいくお)

地方自治論、行政学、都市政策、文化政策専攻。主に自治体文化条例の原案づくり、文化基本計画策定、新規文化事業の企画と実践、公共ホールの経営改革や経営戦略づくり、文化事業の事業評価、政策評価システムづくり、指定管理者制度では、選定基準づくり、選定委員などに携わる。これまでに滋賀県、奈良県、堺市、奈良市の文化審議会会長を務め、現在は東大阪市、池田市、河内長野市、神戸市、近江八幡市、草津市、伊賀市、四日市市、高浜市、酒田市、北上市などの文化審議会、参画協働審議会、行財政改革審議会、総合計画審議会の会長などを務める。自治体学会顧問、日本文化政策学会顧問。著書「地域自治のしくみづくり」「分権時代の自治体文化政策」など多数。

 

天野 和彦 (あまのかずひこ)

特別支援学校の教員として15年。その後、県教育委員会や県男女共生センターなどで社会教育の仕事を15年。2011年3月11日の東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に際し、約2,500人の被災者を受け入れ、福島県内最大規模だった「ビッグパレットふくしま避難所」の県庁運営支援チーム責任者として運営に携わる。現在、福島大学人間発達文化学類特任教授、一般社団法人ふくしま連携復興センター代表理事として被災者の生活再建や震災関連死などの調査研究を行うとともに、コミュニティ形成のための支援・研究活動を行っている。防災教育教材「さすけなぶる」の開発リーダー。

 

森本 真也子(もりもと まやこ)

東京学芸大学幼稚園教育養成課程卒業。地域における子どもの活動や場づくりに興味を持ち、地域文化団体に就職。以来30数年にわたり、東京都内・首都圏・全国で関連の仕事に従事。“すべての子どもたちに文化権の保障を!”をミッションとするNPO法人子どもと文化全国フォーラムを2017年設立。現在、NPO法人子どもと文化全国フォーラム代表理事/NPO法人子ども文化地域コーディネーター協会理事/子どもと舞台芸術大博覧会実行委員会事務局長/(公社)全国公立文化施設協会コーディネーター/青梅市文化交流センター・コーディネーターを務める。

 

玉渕 博之(たまぶち ひろゆき)

えずこホール館長(2019年~)。勤務歴27年。えずこ芸術のまち創造実行委員会事務局長。宮城県文化審議委員。大河原町まちづくり審議委員。柴田町図書館建設検討委員。文化事業海外研修経験(英国/2009年、韓国/2010年)。宮城県公立文化施設協議会理事。同協議会マネジメント委員会委員長。

チケット情報

参加費

無料・要申込み(当日申込みも可能)

チケット購入

〈窓口・お電話での申込み〉

(福島市)とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)TEL.024-534-9191

〈インターネットでの申込み〉

申込みはこちら

お問い合わせ とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)
TEL. 024-534-9191 
Mail. culture@fcp.or.jp
主催

公益財団法人 福島県文化振興財団 / 公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会

Page Top